修行の足りない夫婦(バレンタイン2013)

たとえ嫁がいらないと言ってもだな。ほんとのほんとに何もないんかい?なんかこう、、、ちょっとがっかりというか、さみしいというか
まな板の上でバンバン刻んでいるのは、本当にタマネギなのか。

(見た目に反して)うちは結婚して13年め。出会ってから17年め。
その年月が長いか短いかはわからないけれど、
今更バレンタインでもなかろう。

商戦にのせられて、ばか高いバラを買うんじゃない!

と言ってある。
第一私は赤いばらがあまり好きではないし。
チョコレートも毎日食べてるし。
夫婦間の義理チョコほど心寒いものはないではないか。
何もいらないよ。と、私はおもっているし、伝えてもある。
昼がきて夕が来て夜になり、夫が帰ってきた。
ドアを開けて入ってきた夫の手には、、、何もない。
それでいいのだ。
これでいいのだ。
私がのぞんだこと、言い聞かせたことなのだ。。。
しかし、、、
ほんまかいな。

ほんとのほんとに何もないんかい?
(あ、何を言ってる自分!)
ばらの花びらで大きなハートを床に描き、電飾で飾り高級チョコにシャンパン
バスタブにこれまたたっぷりとはなびらを浮かべてくれた、あの新婚当時の君はどこへ行った!
当時の仕事場の同僚が「彼は花屋さんなの?」と問うほどに
ばんばんおしゃれな花束を送ってきてくれた、婚約当時の君はどこへ行った!
(あ、いかんいかん。これを言っちゃおしまい。向こうだってそうおもってるに違いない)
にしても、、、。たとえ嫁がいらないと言ってもだな。

たとえ、確かに「今更」だったとしてもだな。それでも、何かちょっと気持ちを示すのが大事なんだよねー。
わかっとらんね、ちみぃ。女の気持ちが。
なんかこう、、、ちょっとがっかりというか、さみしいというか
まな板の上でバンバン刻んでいるのは、本当にタマネギなのか。
で、当の本人といえば、その隣で
小包(本にだけはお金を惜しまない彼の元には、毎日のように本の小包が届く)を
鼻歌まじりで開けている。
バンバンバンバン (まな板、さらにこっぴどく叩かれる)
のんきな声がする
「何かなぁ〜あら〜。チョコレートでしたぁ。誰からかなあ?」
よくも、のんきにそういうことを、ぬけぬけと!
(たいへん気のきくプレゼントをくださるお友達のご好意とおもわれ、、、)
ほらみろ。なんと気のきくことよ。ちょっとは見習えっ!このXXX!)
「おいしそうだね〜このチョコレート。誰からかなあ。あっ、僕からでした。」
チョコと一緒に差し出されたカードには、夫から私あてのメッセージが印刷されていた。
は? (包丁もったまま)
「ニューヨークタイムズに、今アメリカで一番おいしいと評判のキャラメルチョコって掲載されて、

それで注文が殺到したらしくて。店の人ががんばりますけど、発送がバレンタインに間に合うかどうかわかりませんって言ってたんだよ。

なんとか間に合ってあ〜よかった〜」
(ひえ〜ごめ〜〜〜んよ〜〜。許してくだせえ〜。いらないといっておきながら、どこかで期待し、勝手にがっかりして腹たてて、、、。)
情けない私。
「で、花はさ。そこの店(今夜は、バレンタイン駆け込みばら屋さんのような存在で、もじどおり駆け込みばらを買うために、年齢不揃いの男子が並ぶ)で2束買ったんだよ。

だけど、、、本当にぼくは、、、だめだ。気が短くて。。。」
要約すると、、、
その駆け込み男子の列に一応は彼も並びお金を払い、また別のところにあるラッピングの列のほうへ
ところてん式に押し出された形になったらしい。
そこで、(誰に対しても愛ある人でいたいとがんばってるらしい)彼は、
ちょっと思いやりのある言葉を店の人にかけた。
「今日は一日中休む間もなくて大変だね。うちはラッピングしなくていいよ。一人でも少ないと助かるでしょう」みたいなことを言った。
当然期待するのは、
店のおじさんの、ちょっと驚いたようなとろける笑顔。
混雑する店で客も皆てんぱってる。
ぎすぎすした空気の中で、そんな優しいことをいうお客登場。
ほっとこぼれるおじさんの笑顔、、、のはず、、、と無意識の期待があったんだろうな。
ところがそのおじさんはこう言ったらしい。
「あんた、その花、金は払ったのか?」
「はぁあ?」
さらに奥から別の女性がでてきて、畳み掛けるようにこう言った。
「おたく、お金払った?」
『はぁあ?はぁあ?はぁあ?????じゃあ、なにかい、俺が泥棒だというのか!」

と言ったかどうかは知らないけれど
思いやり男子は瞬く間に、ぶちぎれ男に変身した。(らしい)
「こんな、花なんかいらんわいっ!」ぶちぶちぶちっ
と、言ったかどうかは知らないけれど、

花を返しお金を取り返し、帰ってきたらしい。
「だから、花はない。の。ばかだね、僕。ごめん。」
あらまー。夫は夫で、、、
まったくもって、修行の足りない夫婦@バレンタインデー13 でありましたわ。

AUTHOR

プロフィール写真
片岡 桜子 / Sakurako Kataoka

神戸生まれ。
30年前、関西TVニュースキャスターの仕事を辞し渡米。

その後ニューヨークにて、FM802、フジTV、NHKのリポーター、ハリウッドスターのインタビューなどをつとめ、またアメリカ大手金融業界にも籍をおくなど、数々の仕事に従事。

40才で結婚、43才で出産。

しばし子育てを楽しむが、50代が見えてきた頃、「余生」と呼ぶには長すぎる人生の後半をどうやって生きていけばいいのかと問い始めソウルサーチングの旅を始める。

  

YouTubeにMayutomo Channelというインタビュー番組を作り、「命」や「宇宙の仕組み」を日常に落とし込んでおられる先生方にお話を伺う。

登録者数は6300人を超え、今も増え続けている。

NYではアーバンシャーマン(都会の長老)的先生方から、体、ムーブメント、声などを使って、自分の奥の奥にある声を感じる方法を学ぶ。

教えを実践していたある夜、自分の中の「聖なる存在」と体感的に再会。

いついかなる時も自分だけを愛してくれていた存在が自分の内にいてくれたことに感動し、押さえつけ無視し続けてきたことを詫び、そこからはその声を感じて行動すると誓う。

そうするうちに、深い喜びと感謝が内から溢れ出し、もう満ち足りているので、何もしなくてもいいと感じ始めた途端、突然57才でショートフィルムの主演女優デビューしたり、58才で自作のミュージカルショーの舞台に立ったりと、思いもよらなかった、本人も忘れていた大昔の夢が、棚からぼたもち的に勝手に叶いだし、人生は宇宙の台本どおりなのだと実感する。

魂の声どおりに生きる喜びをショーや語りで表現し、アラフィフ世代の背中を押し続けている。

ショーの動画はこちらhttps://www.notsosuperherogirl.com/about

片岡桜子(長い長い)プロフィールはこちら

公開日:2015/02/04

最終更新日:   2015/09/22