子供が教えてくれた(自分の)親の気持ち

親の心子知らず。子の心親知らず。

 

「どうしてママはそんなに意地悪なんだ!」

 

ホルモン上下降はげしき頃の息子が言った

 

意地悪!????

 

 

そう言われて心底びっくりした

意地悪で言ってるつもりなど1ミリもなかったから

 

 

そして思い出す

四十年以上も前のことを

 

 

当時高校生だったわたしが、受験を控えたある夜

ちょうど実家の居間からトイレに出てきた父が

ついでに私の部屋を覗いた

 

またそんな時に限っていつも休憩中なわたしだ

 

 

いつみても遊んでるけど そんなことで受験は大丈夫なのか

みたいなことを、ミスター嫌味氏の父が

父らしい言い方で嫌味たっぷりに言ったんだと思う

 

「パパはどうしてそんな嫌なことばっかりいうの?

たまには応援する一言くらいかけてくれたっていいじゃない!

私だって不安になったりするのに

 

 どうしてそんなに意地悪なの!?」

 

 

父は何も言わずに居間に戻っていった

 

 

そのあくる日

母が、金槌で釘を打ち これをぶら下げてくれた

「昨日 そう言われたからって

早速神社で買ってきてくれたのよ。

パパだって心配してるだけよ」

 

で、でっかい鈴!

 

 

小さなお守り とかじゃなくて

この大きな 大願成就の鈴に

照れ臭いのと

娘に意地悪と言われてハッとした父の気持ちを少し感じたように思う

 

 

その夜

トイレのついでに(を、装ってかもしれないけど)また

父がわたしの様子を覗きにきた

若干気持ち悪めの猫なで声気味に

 

 

「お やっとるか

、、、まあ、がんばれよ」

 

 

父も素直じゃなければ 娘も素直じゃない

「ありがとう」がなかなか言えない

待てない父

 

 

あり、、、

 

 

と言おうとしている娘を横目に

父はこの大きな鈴を

 

じゃんジャラジャラーん

 

と鳴らした

照れ隠しもあったのかも でも

 

その音が、鳴らし方が、妙に無粋で下品に聞こえ

 

(アァもー 嫌 嫌い)

 

オーラを全身で現した気がする

またもや、そのまま居間に退場、、、

 

ホルモン上下降中の娘は 父親に残酷

 

 

あれから40年 ところはニューヨーク

 

素直じゃない娘も母になった

息子の部屋に洗濯物を置きに行きついでに

いつみても ゲームしているかユーチューブをみているように 見える息子に小言を連発する

 

宿題したのか?

週末もやることやってから遊びなさいよ

そんなことで大丈夫なのか?

なんのスポーツも、楽器も

習い事もしないまま

一体君はどうなるのか?

第一この汚い部屋はなんだ?

 

とかなんとか

一言一句は覚えていないけれど

あるある なお小言を

息子の部屋に入るなり連発

 

 

「こんなんじゃ、将来思いやられる」

時には

「よそ様のお子さんは、、、」

 

みたいな、ひどい言葉と一緒に言っちゃった気もする  (ごめん)

 

 

 

そこまでしておいて

 

「どうしてママはそんなに意地悪なんだ!」

 

と言い返されて

 

心底驚いたのだから笑っちゃう

 

い、意地悪!?どこが!?

こんなに君のことを思って言ってるのに、、、

 

いやいや本当に

意地悪を言おうなんてこれっぽっちも思ってなかった

あんなに嫌だったのに

自分はそんな親にはならない と思ってたはずなのに

気がつけば

自分が言われたように言っていた、、、

ことにも改めてびっくりがっかりしたけれど

なにより

 

 

 

 

そこにあるのは 心配

心配の奥にあるのは

大事で大事で大事で大好きという気持ち

意地悪どころか

正反対の

もうどうしようもない 愛

 

 

だったら、

その心配を子供にぶつけるんじゃなくて

大事に思ってる 大好きだからの気持ち

そっちをこそ

そのまま素直に伝えようよ

 

 

その時の自分と、あの時の父に突っ込んだ

 

それ以降

子供の部屋に入る時

 

自分が今から子供に対して発しようとしている言葉は

心配の部分なのか その元になってる「愛」の部分なのか

ちょっと気をつけるようになった

 

そうしたら

今までオートマで言ってたことが 全部NGとなり

結局

 

「大好きだよ」だけが残った

 

 

放任じゃなくて、信じて見守る

小言ではなく

「君が大事すぎて、そこが心配になる」という言い方でいうようになった

 

やがて 息子のホルモンも落ちつき

 

気がつけば

部屋は、友達がしょっちゅう来るので自分で片付け

朝も自分でさっさと起きて遅刻もせず出かけ

デートもしなくちゃいけないから、週末の宿題も計画的にやっているらしく

勉強もここへきて「やる気」が内から湧いてる模様で

なかなか頑張っている

相変わらずガリガリ君ながら友達とジムで体を鍛えているらしい

好きなことで成果も出してる

いろんな友達が家にやって来る

青春花盛り 勝手に幸せそうだ

 

 

 

父は1年前に他界し

実家も取り壊すことになり

一箱に絞った思い出品以外全部処分

 

さんざん 迷ったすえ

その箱と一緒に

この鈴も40数年の月日と、海を超えて

2020年のニューヨーク の我が家に連れて帰ってきた

 

受験生の息子のために

磨き直してピカピカに

父がどこの神社で買ってくれたのかも今となってはわからないのですが

 

「神さま

ほったらかしにした末に厚かましいお願いですが

あの頃の母(わたし)に加えまして

息子の受験も、彼に一番ぴったりでハッピーでいられるところへ行けますように

お力貸してくださいませ。」

 

 

天国のじいちゃん

自分も親になって

今頃になってわかるよ

 

 

親の心 子知らず

まあ、子供の心親知らず でもあるけどねえ(笑)

 

ありがとね

 

(なぜか)じいちゃん大好きだった あなたの孫が

 

「それは捨てちゃダメだよ

持って帰ってきてくれてよかった 」

 

みたいなこと 言ってました

引き続き見守ってやってね

 

AUTHOR

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片岡 桜子 / Sakurako Kataoka

神戸生まれ。
30年前、関西TVニュースキャスターの仕事を辞し渡米。

その後ニューヨークにて、FM802、フジTV、NHKのリポーター、ハリウッドスターのインタビューなどをつとめ、またアメリカ大手金融業界にも籍をおくなど、数々の仕事に従事。

40才で結婚、43才で出産。

しばし子育てを楽しむが、50代が見えてきた頃、「余生」と呼ぶには長すぎる人生の後半をどうやって生きていけばいいのかと問い始めソウルサーチングの旅を始める。

  

YouTubeにMayutomo Channelというインタビュー番組を作り、「命」や「宇宙の仕組み」を日常に落とし込んでおられる先生方にお話を伺う。

登録者数は6300人を超え、今も増え続けている。

NYではアーバンシャーマン(都会の長老)的先生方から、体、ムーブメント、声などを使って、自分の奥の奥にある声を感じる方法を学ぶ。

教えを実践していたある夜、自分の中の「聖なる存在」と体感的に再会。

いついかなる時も自分だけを愛してくれていた存在が自分の内にいてくれたことに感動し、押さえつけ無視し続けてきたことを詫び、そこからはその声を感じて行動すると誓う。

そうするうちに、深い喜びと感謝が内から溢れ出し、もう満ち足りているので、何もしなくてもいいと感じ始めた途端、突然57才でショートフィルムの主演女優デビューしたり、58才で自作のミュージカルショーの舞台に立ったりと、思いもよらなかった、本人も忘れていた大昔の夢が、棚からぼたもち的に勝手に叶いだし、人生は宇宙の台本どおりなのだと実感する。

魂の声どおりに生きる喜びをショーや語りで表現し、アラフィフ世代の背中を押し続けている。

ショーの動画はこちらhttps://www.notsosuperherogirl.com/about

片岡桜子(長い長い)プロフィールはこちら

公開日:2020/02/28